喜多川泰|書斎の鍵 (父が遺した「人生の奇跡」)

妹に借りて読みました。
借りてからも、読む時間が無いと伸び伸びにしてしまっていましたが、いざ読み始めると続きが気になってあっという間に完読。
忙しい方にこそ読んで欲しい一冊。


内容紹介

2055年、東京。
大手医療機器メーカーに勤める浩平は、疲れたような毎日を送っていた。
そんなある日、突然受け取った父の訃報。
生前、親交が薄れていた父が、浩平に残した唯一の遺産、
それは、鍵がかかったままの「書斎」だった……。

自己啓発小説の旗手・喜多川泰が大人たちに贈る感動作。
――この本を読んだあなたは、
自分という存在の価値を感じずにはいられないだろう……。

自己啓発本と小説が合わさった自己啓発小説、おそらく初めて読みました。

タイトル通り、書斎の鍵が物語のキーになります。笑
父親の死後、書斎を開けることができず、鍵の在りかを探します。
鍵を開けるだけなら鍵を失くした体にして鍵屋に頼めば終了ですが、それではダメだったんです。

いつものことながら、本の感想は少なめに本を読んで感じた自分の話を。
本好きの医師の父親は、幾度となく読書の素晴らしさを息子である主人公に伝えようと試みますが、主人公は頑なに本を読もうとせず本を避けて生きてきました。

親に勧められ、望まれた人生を歩む人はどれくらいいるでしょうか。
主人公は医師になるほど学業もできず、これといって取り柄が無いと終始謙遜し、劣等感を抱きつつ生活していますが、おそらく一流大学を卒業し、研究所のある一流企業に就職。
守るべき家族もいて、十分幸せな人生だと感じます。

”読書を通していろいろな経験ができる。
同じ物を見て触れても、読書を通して知識があれば、広く深く感じることができる。人生の旅路で一番の楽しみだと言える。”

私は、旅行が大好きですが、旅行前にガイドブックを読む時と読まない時があります。

ガイドブックを読まず、大した情報を持たず先入観なく行くのも楽しいですが、読んでから行った場合は、行く前から見たいところ、食べたい物・楽しみが長く続き、本当に来れたという幸福感が一入です。

話を戻して、ちょっとネタバレ。
小説の中で
読書を通して、自分の幸福を求めることが、周囲の人間を幸福にすることに繋がると、東京の大病院の院長の椅子を蹴って田舎の医師として、最期まで本を愛した父が、息子への愛を伝えられなかったのは、父親の性でしょうか。
父からの愛情を感じながら、気づかないよう目を背けてきたと主人公も言っていますが、その辺が妙にリアルだったり。

生涯、何万冊の本を読みながら、”上手な愛情の伝え方”的な本は読まなかったんでしょうか。
本も好みがあって、読書好きな人も自分で本を選ぶと割といつも同じような本しか読まなかったりしますよね…

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