贖罪|湊かなえ

贖罪(しょくざい)とは―コトバンク

善行を積んだり金品を出したりするなどの実際の行動によって、自分の犯した罪や過失を償うこと。罪滅ぼし。「奉仕活動によって贖罪する」
キリスト教用語。神の子キリスト十字架にかかって犠牲の死を遂げることによって、人類の罪を償い、救いをもたらしたという教義キリスト教とその教義の中心。罪のあがない。

 

空気がきれいなことが取り柄以外何もない田舎町で起こった小学校4年生東京からの転校生女児の殺害事件。殺害された女児と当時一緒に遊んでいた4人。

4人は事件から3年後、殺害された女児の母親に呼び出され必ず犯人を見つけなさい。それができないのなら、わたしが納得できる償いをしなさいと言われます。

その後15年の4人の生き様と、15年後の今の話です。

 

 

ネタバレを含みます。

これから読もうと思っている方は、ご遠慮ください。

 

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殺害された女児の母親が放った一言は、他の4人は娘が殺された事件などすぐに忘れてしまうのだろう、私が何を言ったところで忘れられるはずだと軽い気持ちで言ったのです。

 

しかし、その後の4人の人生を確実に追い込んでいきます。

犯人の顔を4人とも覚えていないことから事件は迷宮入りとなり、いつどこで犯人が接触してくるか分からない不安もあり、怖いです。

夜寝る前にはおススメできない本です。

事件当時一緒に遊んでいた5人は、家庭環境もまったく違います。

事件が起こった日から15年後の今まで、4人それぞれが回想だったり、殺害された女児の母親宛に書いた手紙だったりで振り返っていきます。

 

子どもが生まれ母となった今、事件当時の子供たちというよりも、殺害された女児の母親や他の4人の母親の気持ちを考えてしまいました。

母親は病弱な姉ばかり可愛がり自分は疎ましく思われていたという一人は、事件が起こったのはお盆の夕方で警察の事情聴取などもあり、帰りは9時を過ぎていたにも関わらず、母親が迎えに来ることはなかった。警察官が家に送り届けると、バツの悪い顔をして何やら言い訳をする。それどころか、もう4年生なんだから一人で帰って来なさいと言った。

いくら田舎だと言っても、殺人事件があって犯人がまだ捕まっていない状況で9時過ぎに一人で帰って来いとは。。

 

他にも、しっかりしていると言われていた子が殺人現場を見て怖くなり自宅の布団にもぐっていると、そんなことをしていないでしっかり警察に事情を説明してきなさいと母親に怒られた子。

 

事件を思い出すと、頭痛に襲われ不登校になってしまった子。

 

エリートと結婚し、夫の仕事関係で海外へ行った一人は、事件で追った心の傷が体にも長い間不調が出ているのに、誰にも相談できずにいた。

 

一見幸せそうに見えても、事件がなければ望めただろう穏やかな生活を送っている者は誰一人いなかった。

小児性愛者による通り魔事件だと思っていたが、実はそうではなく…

イヤミス(読んで嫌な気分になるミステリー)の女王湊かなえだけあってハッピーエンドではありません。でも、最後にドーンと不幸で終わるのでもなく、面白かったです。

 

 

ダンサー・イン・ザ・ダーク(Blu-ray Disc)

後味が悪いというと、20年くらい前にダンサーインザダークっていう映画を見た。

その覚悟で読み進めていたので、むしろほっとしました。ダンサーインザダークは、救いようのないラストですから。。でも、そんなことを思っているとダンサーインザダークもまた見たくなってしまった。あのラストはホントにヤバイ…

 

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